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地質調査の諸経費について

●全地連では、令和5年度「全国標準積算資料(土質調査・地質調査)」で諸経費に関する大改訂を行いました。

 地質調査業務を実施するにあたり、“業務の実施に直接必要な費用”以外の費用は諸経費によって賄われています。例えば、企業の販売費・管理費・研究費・地代家賃・営業利益などがこれにあたります。

 「諸経費」とは積算の用語ですので、積算では、主に“原価”と“諸経費”の2つに区分されていると考えて良いかと思われます。従いまして、業務の実施に直接必要な費用は、項目ごとに積算されますので、その他、直接業務の実施に直接必要な費用ではないが実施する会社に必要な経費が諸経費となります。一つの業務の中でも、営業活動、契約手続き、完了検査、業務登録、業務実績調査対応、実施部署管理および出納管理などは、諸経費の範疇となります。この様に、業務の実施にあたり“原価”と、それ以外の“諸経費”に分けて考えると、これらは表裏一体をなしており、業務を実施するにあたっても無くてはならない費用であることが理解できます。

 業務の実施に直接必要な費用について、全ての項目が積算されて契約することは言うまでもなく、諸経費につきましても企業として必要な金額を積算することが重要と思われます。全地連では、2021年度の各企業の実績に基づき、2022年に全ての会員企業を対象とするアンケート調査を行い、会員企業の諸経費調査を実施いたしました。

 その結果を「全国標準積算資料(土質調査・地質調査)令和5年度改訂歩掛版」(通称;赤本)にとりまとめました。因みに、諸経費率としましては、受注金額の大小にかかわらず一律で97%程度(直接原価、間接原価の比率によって変わるため、ここでは「程度」と記述)となっております。

積算の基本の「き」

地質調査の積算は、何を見たらいい?

国土交通省や多くの自治体では、国土交通省の「設計業務等標準積算基準書(毎年発行);『通称“青本”』」またはこれをベースにしたものを基準としている。青本では、積算単価として市場単価を引用するもの、歩掛標記のもの、各地整が実施する特別調査を引用するものがある。また、トラックの損料等は建設機械等損料表を引用する。青本では、ボーリング関連、サウンディング、サンプリング、原位置試験、弾性波探査、軟弱地盤技術解析、地すべり調査に関する記述があるが、青本に記載のないもの、「別途計上」と記述されているものについては全地連の「全国標準積算資料(令和5年度版発売中);『通称“赤本”』」が標準的に用いられている。従って、青本と赤本を参照すると、全ての地質調査の積算が可能であると言っても過言ではない。(下図参照) 赤本青本の関係

積算はどんな構成になっている?

地質調査の積算(調査業務価格)は、①一般調査業務費②コンサルティング業務費(解析等調査業務費)に分けて積算を行う。(青本と赤本の積算構成は同じ)①一般調査業務費は、現地調査とそのデータ整理・とりまとめ、②解析等調査業務費は、現地検討・分析・解析・検討が対象となっている。この2区分は、積算資料に区分が記述していない場合は、技術者単価に何が適用されているかによって判断することができる。即ち、①一般調査業務費では、地質調査技士、主任地質調査員、地質調査員が適用されており、②解析等調査業務費では、主任技師、技師A、技師B、技師C、技術員が適用されている。

①一般調査業務費の純調査費の直接原価として、直接調査費と間接調査費に区分して積算を行い、その区分としては調査に直接係る工種(直接経費)とその準備のために必要なもの(間接調査費)とされており、下図に示されたものを参照すると良い。

地質調査業務費の図

諸経費について

諸経費は、一般調査業務費に含まれる会社経費分のことで、直接原価及び間接原価以外の費用として、技術部門の間接原価や営業・管理部門の費用である販管費及び一般管理費、さらに会社を継続的に運営するために必要とされる付加利益が対象となっている。これらを併せて「諸経費」と称されており、基準図書によって定められた方法にて算出する。赤本では、諸経費を構成する「業務管理費」と「一般管理費等」を別々に計算し、これを合算して「諸経費」として計上する。
因みに、「業務管理費」は、技術部門の間接原価であり、業務を実施するための技術力向上やノウハウ形成等、主に技術的要素の拡充・形成に係る経費である。「一般管理費等」は、営業・管理部門の費用等で、企業会計の営業総利益に対比されるものである。(上図の諸経費参照)
地質調査に係る全ての費用は諸経費の対象となっているが、ボーリング柱状図、土質試験結果一覧表の成果に対する「検定費」及び水質・土壌などの環境測定分析については、例外的に諸経費の対象外となっている。

端数処理について

 
  • ・数量は、補正係数を乗じたりする場合は小数第3位(小数第4位四捨五入)
  • ・数量に於いて、機器のレンタル日数、宿泊日数など、端数による
    計算により難い場合は、小数点以下を切り上げとする
  • ・単価は、1円単位(1円未満切り捨て)
  • ・補正係数、変化率は、小数第2位(小数第3位四捨五入)
  • ・金額は、1円単位(1円未満切り捨て)
  • ・業務価格(一般調査業務費及びコンサルティング業務費)は、10,000円単位とし、
    その調整は諸経費または一般管理費で行う

補正係数のかけ方

計算例

補正係数は、主に、基準となる数量に対して数量が少ない場合、調査に係る費用に対する準備、移動や通勤などの固定費用が大きく作用する場合、それらを考慮するために設定されている。一般に補正係数は、数量によって特定された補正係数をそれぞれの直接人件費に対して適用する。赤本では、積算の簡素化のために材料費や機械等損料に対して直接人件費のパーセンテージで表示しており、数量が補正係数で補正される場合にも補正後の直接人件費に対して適用する。

この費用は見てくれるの?

調査数量又は当初積算に含まれていない費用が発生した場合、正当な費用として予め承諾を得て実施した場合は、請求し、支払われなければならない(改正品確法では、歩切の根絶を謳っている)。具体的には、必要に応じて行った打合せ費用、地表水の利用ができないため実施した散水車による水運搬、または地表面の凹凸が激しいため規格の大きなクローラ運搬が必要となった場合などがこれに相当する。

数量計算の考え方

■ボーリング数量は、1孔毎に、礫混じり土砂、軟岩などの区分ごとに数量を合算して積算する。深度や傾斜角の補正を行う場合は、掘削長全体に対して補正を行う。同一孔で標準貫入試験やサンプリングを行う場合は、その延長も掘削延長に含む。ただし、例えば、30mの孔底で標準貫入試験を行って掘り止めした場合は、(それ以上掘削していないので)30m以深の貫入長については掘削延長に含めない。

■ボーリング孔内を連続的に観察するボアホールスキャナー観測、地表で測定箇所が分かれて行われる弾性波探査など、数量を合算して積算するのか、個別に積算し後で合算するのか迷うことがある。
ボアホールスキャナー観測では、ケーシングプログラム等の関係で、同じボーリング孔でも、別の日に別々に測定を行う場合がある。その場合は、解析費は孔あたりで積算、測定費は観察区間長に応じてその都度別々に積算する。この1孔を別の日に分割して測定を行う考え方は、物理検討に対しても同様に別々に積算するが、物理検層の場合は「観察区間長」ではなく「測定深度」であるため、例えば2回目の測定が60~80mの場合は、測定深度80mとして積算する。
弾性波探査等の物理探査では、複数の測定区間(測線)について調査が実施される場合が多い、その場合の数量としては、地区が同じ場合は、全ての測線長を合算して積算、地区が異なる場合は地区ごとに合算して積算する。この「地区」の考え方は、火薬使用の承認や火工所等の準備に係る費用、調査時の移動に係る時間などを考慮し判断される。

新しい積算・新規改訂

現在、新しい積算・新規改訂はありません。

発注ガイドの紹介

 

地質調査業務の発注ガイドです。積算の参考にもご活用いただけます。
 ・地質調査業務発注ガイド(令和6年度改訂版) NEW
 ・「令和6年度版 地質リスクマネジメント技術支援業務発注ガイド-事業促進PPP等の品質向上のために-」(2024年11月) NEW  

赤本積算Q&A

Q&A一覧(令和5年度改訂歩掛版) *準備中
Q&A一覧(令和2年度改訂歩掛版)

地質調査関連資機材取扱い先一覧

※メーカ企業 営業ご担当者 様
こちらの紹介コーナに情報提供いただける企業様を募集中です。
お問合せ先:Tel 03-3518-8873(全地連事務局 積算担当)

分類1 分類2 会社名・連絡先 主な取扱商品
ボーリング調査 ボーリングマシン、
サンプリングツール、
ロッド、ケーシング
など
尼崎鋼管㈱
 TEL:06-6418-8841
ケーシング等鋼管製造
㈱エヌエルシー
 TEL:03-3837-3381
各種ボーリングマシン、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
㈱クリステンセン・マイカイ
 TEL:03-3490-8433
ダイヤモンドビット、コアバレル、水中ポンプ、ドリリングツールス、泥水・濁水処理剤など
鉱研工業㈱
 TEL:03-6907-7888
各種ボーリングマシン、ポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
㈲シンク・フジイ
 TEL:0852-23-8454
標準貫入試験自動記録装置
㈱セップ
 TEL:06-6327-1331
地質調査資材加工販売、土壌汚染調査用測定管
㈱東亜利根ボーリング
 TEL:03-5775-3321
各種ボーリングマシン、ポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
東邦地下工機㈱
 TEL:03-3474-4141
各種ボーリングマシン、ポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
日建商事㈱
 TEL:03-3226-3571
各種ボーリングマシンのレンタル
㈱扶桑工業
 TEL:054-644-2100
各種ボーリングマシン、ポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
㈱ワイビーエム
 TEL:0955-77-1121
各種ボーリングマシン、ポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
㈱コアーパック
 TEL:092-572-0680
ボーリングに関するポンプ・ミキサー類、ロッド、ケーシング、ドリリングツールスなど
仮設・運搬 飯田ユニパー㈱
 TEL:054-369-0055
モノレール製造・架設
サンプリング試料 ㈱神谷製作所
 TEL:048-481-3337
コア箱、標本ビン、サンプラー運搬箱など
㈱東京物産
 TEL:03-3298-2881
サンプリング試料整理用品
名古屋ケース㈱
 TEL:052-881-4020
コア箱、標本ビン、サンプラー運搬箱など
㈱マスダ商店
 TEL:082-231-4842
コア箱、標本ビン、サンプラー運搬箱など
物理探査
現地計測・試験
探査機器
計測機器
㈱ジオファイブ
 TEL:048-871-3511
地下水関連機器(水位、水圧、流向流速等)、物理探査関連機器(PS、表面波、電気等)、孔内載荷、地盤変位(傾斜計、伸縮計)など
ビイック㈱
 TEL:03-3947-5800
表面波探査機
室内土質試験
室内岩石試験
試験器 ㈱マルイ
 TEL:072-869-3201
土質試験器、岩石試験器
㈱丸東製作所
 TEL:03-3643-2111
土質試験器、岩石試験器
解析・検討・設計 ソフトウェア 応用リソースマネジメント㈱
 TEL:03-6240-0411
沈下計算、安定計算、液状化判定、FEM解析、地下水浸透流解析、観測・計測データ処理、電子納品支援など
川田テクノシステム㈱
 TEL:03-5961-7911
沈下計算、安定計算、FEM解析、補強土工法計算、アンカー工計算、地すべり抑止杭設計計算、電子納品支援など
五大開発㈱
 TEL:050-3385-3063
沈下計算、安定計算、液状化判定、FEM解析、地下水浸透流解析、補強土工法計算、アンカー工計算、集水井設計計算など
その他
㈱マルイ
 TEL:072-869-3201
現場密度試験器、スウェーデン貫入試験機、標準砂ほか
㈱丸東製作所
 TEL:03-3643-2111
スウェーデン貫入試験機、CBR試験機ほか
㈱環境地質サービス
 TEL:044-201-2605
土層検査棒など
ジャパンホームシールド㈱
 TEL:03-5624-1545
太陽光発電架台用基礎など
ジオックスコンサルタント㈱
 TEL:048-778-8317
コンサルティング
一般社団法人エコプローブ協会㈱
 TEL:03-5775-3939
土壌汚染調査関連
㈱東横エルメス
 TEL:046-233-7744
計測器の製造、販売、コンサルティングなど
エンバイオ・エンジニアリング㈱
 TEL:03-5577-5528
土壌汚染調査関連

参考写真集

参考写真はこちらからダウンロード してください。

積算資料(赤本)

積算資料(赤本)とは

私どもはかねてから「適正価格による受注」が、業務の的確な履行にとって極めて重要なことであり、ひいては、地質調査業の健全な発展に寄与するとの自覚のもとに「適正価格による良い成果」により国民の安全・安心な生活の維持に大きく貢献することを目的に、全地連の重要事業として『全国標準積算資料 (土質調査・地質調査)』を刊行してまいりました。
積算に係る事業は、昭和40年に積算資料の初版を刊行して以来、5年毎の大改訂、その間の小改訂を経て、より実勢を反映した客観的な資料を作成し、全国各発注機関の積算担当者の参考に供してまいりました。この積算資料は、地質調査の積算と共に、その技術水準を維持するための啓発書としての評価を得て、地質調査に携わる人々の座右の書と言えるものとなり、発注機関の方々からも“赤本”との愛称で親しまれるものとなりました。

最新版積算資料の紹介

令和5年度改訂歩掛版は、平成30年度の大改訂、令和2年度の小改訂を経て、アフターコロナの新しい様式として、地質調査業の将来に渡る担い手の確保、デジタル化の進展による非接触・リモート化、生産性の向上、政府による賃上げ要請など数多くの課題が課せられるなど、公共工事を取り巻く環境も大きく変わる中での改訂となりました。このような状況の中、「全国標準積算資料」は国の新しい基本理念を踏まえつつ、発注機関等から寄せられた積算に関するご意見や地質調査業務をとり巻く環境変化などを考慮の上、また会員企業に広くアンケート調査を実施することによって実態調査を集約し、令和5年度改訂歩掛版を発行します。

今回の改定ポイントは次の通りです。
①標準歩掛の点検と見直し(積算の適正化および簡素化)(歩掛補正の追加・拡大,見直し)
②実勢アンケート調査により諸経費の新たな計算方式のありかたを取り纏め、諸経費計算方法及び諸経費率の改定
③物理探査の測線長による補正係数の見直し
④新たなニーズや新技術に関わる新規項目の追加および従来歩掛への新規項目の追加・変更として、「BIM/CM対応」,「モノレール架設・運搬」,「地質リスク検討業務」,「道路防災点検」,「土層強度検査棒を活用した調査・試験」,「2次元・3次元微動探査,1次元微動アレイ探査」,「車両給水費,泥水処理費,試掘,舗装の取壊し・復旧」,「安心トイレ」などを新設・改訂

本積算資料の編集にあたりましては、発注諸機関をはじめ関係諸団体、各地区協会積算委員会および技術専門委員会など関係者の方々のご協力を戴きました。ここに深く感謝の意を表します。
今後とも、内容のより一層の充実を図り、実態を反映した適正な歩掛りを策定する所存でございます。

令和5年7月
一般社団法人全国地質調査業協会連合会
積算委員会

積算資料(赤本)の購入

積算資料(赤本)の購入は発行図書の申込ページ

赤本購入者向けページ

正誤表

令和5年度改訂歩掛版(正誤表PDF) NEW
令和2年度改訂歩掛版(正誤表PDF)
平成30年度改訂歩掛版(正誤表PDF)

アンカーのり面健全性調査

第Ⅳ編第4章4-5-4節アンカーのり面の健全性調査(積算参考資料)

地質調査以外の積算

・グラウト工事・大孔径工事・アンカー工事・集水井工事

こちらでは、全地連で発行した「全国標準積算資料(グラウト工事・大孔径工事・アンカー工事・集水井工事)平成14年度改訂歩掛版」を公開しております。なお、平成14年度改訂歩掛版は本資料発行の最終版となります。
全国標準積算資料平成14年度改訂歩掛版(グラウト工事・大孔径工事・アンカー工事・集水井工事)

目次
第1章総則編
第2章共通仮設編
第3章グラウト工事編
第4章大孔径工事編
第5章アンカー工事編
第6章集水井工事編
付録
※表紙、目次等

アンカーのり面健全性調査

第Ⅳ編第4章4-5-4節アンカーのり面の健全性調査(積算参考資料)