地質調査業の法的基盤

地質調査業はその成立の早い時期から,独自の業務領域を持つこと,設計や施工段階の前に実施されること等の理由により,他の業務とは分離発注され,独立した業としての地位を得ていた。しかし,産業としての法令な基盤は明確でなく,地質調査の発注にあたっての区分や分類もマチマチであった。
このような状況の中,昭和52年に至り,漸く建設省告示として「地質調査業登録規程」が制定され,その中で地質調査業の定義や登録するための要件が定められ,その法的な基盤が明確になった。
また,この規程の制定にあたって,「この規程に定める地質調査業務の発注に当たっては,極力この規程による登録されている地質調査業者の活用を図ること。」との通達が建設省計画局長(当時)名で出されている。このため,登録規程そのものは,任意規程で,登録していない業者に対する営業禁止の条項はないが,建設省の調査よれば,公的機関の地質調査業務のうち,93%〜95%が登録業者に発注されており,実質的には法律に基づくものに近い運用結果となっている。
この「地質調査業者登録規程」に示されている地質調査業の定義の主旨をわかりやすく記述すると,次の通りである。

建設事業等に関し,地質構造,基礎地盤,土又は岩の工学的性質などについて,機械器具を用いた調査,計測を行い,その結果を解析,判定し,設計,施工,管理等のために資料の提供を行い,あわせて必要な所見を述べることの請負業又は受託業

この定義では,地質調査業務の範囲を,現場での調査・計測にとどまらず,解析・判定・助言までとしており,いわば,地質調査業は現場業務を有する専門建設コンサルタントと規定している。
この登録規程では,地質調査業の特徴を踏まえ,登録要件を次のように定めている

登録要件 備考
1 地質調査の技術上の管理を司る専任の者で次のいずれかに該当する者をおくこと。 別表
1) 「土質及び基礎」又は「地質」又は総合技術監理部門(「建設一般」並びに「土質及び基礎」)の技術士を有する者 (1) 土木工学科(農業土木又は森林土木に関する学科を含む。この表において同じ。)
建築学,鉱山学,地学又は物理学に関する学科
2) 大学などにおいて別表第1項に揚げる学科を修めて卒業した後地質調査に関し15年以上実務経験を有する者
3) 建設大臣が認定した者
2 営業所毎に現場における地質又は土質の調査及び計測を管理する専任の者で次のいずれかに該当する者を置くこと (2) 土木工学,建築学,地質工学又は機械工学に関する学科
1) 高等学校において別表第2項に掲げる学科を修めて卒業した後10年以上もしくは大学などで別表第3項に掲げる学科を修めて卒業した後,8年以上地質又は土質の調査及び計測に関する実務の経験を有する者
2) 建設大臣が認定した者(具体的には,(社)全国地質調査業連合会が実施する「地質調査技士資格検定試験」に合格し,登録した者が認められている。)
3 地質調査業に関する契約を履行することに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。(具体的には,法人の場合資本金500万円以上でかつ自己資本が1.000万円以上となっている) (3) 土木工学,建築学,鉱山学,地学,物理学又は機械工学に関する学科